お父ちゃんと私

 水木悦子『お父ちゃんと私−父・水木しげるとのゲゲゲな日常』(やのまん、2008年)を読んだ。最近は死刑関係の本ばかり読んでいたので、たまにはちょっと違う種類の本でも読んでみようかと思って買ったもの。

 ヒット。純粋におもしろい。勤め先の生協の書籍部で目にして、おもわず買ってしまった。水木しげるの故郷である境港は、私が住んでいる松江からそれほど遠くない。20キロほどの距離だ。自転車で行こうかと思っていたところ、すっかり冬らしい気候になってしまったので、今年中は無理そう。

 水木しげるといえば、「ゲゲゲの鬼太郎」。小さい頃、大好きな漫画本の一つだった。ねずみ男がそれはそれは大好きで大好きで・・・。

 水木しげるは、「変わり者」なんだ、と思う。これはポジティブな意味でのこと。この本の著者は彼の次女。水木プロダクションの社員産でもあり、身近でお父さんの姿を見てきた人だ、と思う。彼女の目から見た「お父ちゃん」は、相当な「変わり者」。とても愛嬌がある。それから、言葉の壁があろうともなかろうとも、人とうち解けるのが好きな人なんだと思う。海外旅行に関するエッセイを読んでいて、私はベットの上で一人でくすくす笑っていた。本を読みながら笑うなんて、久しぶりだ。

 水木しげるの睡眠と食べ物に対する執着はすごい。寝ている人を起こさない、というポリシー?考え方に共感。それから会話の内容もとてもユニークだ。だからこそ、あのゲゲゲの鬼太郎が生まれたんだろうなあと思う。妙に納得。

 タヒチ旅行中に短パンをはきたくなった水木しげるが、ラクダのパンツ一枚で出かけようとして、ホテルの従業員に注意された話は、思わずその光景を想像しちゃいそうになってしまった。朝から大福餅を4コも食べた話とか、飼い猫に話かける話もね。あんまり書くと、ネタがばれるので、やめとくけど、とにかく頭をリフレッシュさせたいときに読むのに、とても適している本。おすすすめ。