それでも彼を死刑にしますか

一昨日の夕方、生まれて初めてぎっくり腰を経験。歯磨きをしているときに、前かがみになった瞬間だったかな?いきなり、「ぐきっ」という感覚とともに激痛が走った。我慢できない痛みが襲う。すぐに、松江の日赤病院の救急外来へ。というわけで、この数日はあまりネットへのアクセスはしなかった。その前も出張が続いていたから、メールの返信をほとんど書いていない日々が・・・。一方、移動時間やベットで休んでいるときに読書三昧。今は、ちょっといろいろあってストレスが極度にたまっていて、なかなか仕事に打ち込めない。そうすると、漫画や刑事関係の本や中東関係の本に没頭してしまう。読書は現実逃避の手段?となりつつある今日この頃。

最近、読んだ本

1. 山本譲司『続 獄窓記』(ポプラ社、2008年)
2. 吉岡逸夫イスラム銭湯記−お風呂から眺めたアフガン、NY、イラク戦争』(現代人文社、2004年)
3. 堀川惠子『死刑の基準−「永山裁判」が遺したもの』(日本評論社、2009年)
4. アモス・オズ『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』(大月書店、2010年)
5. 平田伊都子『ピースダイナマイト アラファト伝』(集英社、1994年)
6. 大谷恭子『それでも彼を死刑にしますか−網走からペルーへ―永山則夫の遥かなる旅』(現代企画室、2010年)
7. 塚田努『だから山谷はやめられねえ−「僕」が日雇い労働者だった180日』(幻冬舎文庫、2008年)

他にはたくさん漫画を読んだなあ。読んだ漫画は神戸の自宅にほとんど置いてある。そうそう、はまりそうなのは、『深夜食堂』。食べ物関係の漫画は私をとても幸せにするもんなーー。この漫画、私に買ってください、と言わんばかりの内容。とりあえず2巻まで購入。

上記に挙げた本のなかで、とにかくぴか一だったのは、堀川さんと大谷さんと山本さんの著書。あとは、マッチョ性を妙に感じさせる『イスラム銭湯記』(現代人文社から発刊されているからもっと深い内容のものを期待したのに・・・。でも、読み物としてはおもしろい箇所がたくさんある。でもねえ、途中からマッチョな内容に耐えられなくなる自分がいるのに気がついたな。)。平田さんの『ピースダイナマイト アラファト伝』は時間つぶしのために読んでしまった感がぬぐえない。塚田さんの本もだ。

アモス・オズの著書は、いかにもシオニスト左派らしいオズの講演録とインタビューだった。特に新しい発見でもないけれど、しいて言えばシオニスト左派の認識の問題と「和平」の限界が簡単に見える本だった。途中で少々不快にもなったし。植民地主義レイシズムの表裏一体の関係がまったく見えてこないし、見ようとしていないこと(そう考えまい、とする、というべきか)があまりにもはっきりしていたからだ。オズの論調は、パレスチナイスラエルの「共生」や「和解」を「単純」に求める/願う人々の間では簡単に受け入れられるんだろうなあ。その問題をどうすべきか・・・、ということをたまに考えてしまう。

さて、大谷さんと堀川さんの著書はいずれも永山裁判関係のもの。ぐいぐいひきこまれていくような感覚に陥りながら、1ページ、1ページ読み進め、内容に夢中になりながらも、<永山裁判>を現代社会で再考する意味について考えさせられたのだった。永山さんの生い立ちと主張、裁判での論点、判決の変遷に振り回される永山さんの<生と死>、そして処刑。船田判決の意義はどこにあり、それがいかにして恣意的に解釈されてきたのか。あるいは「永山基準」の解釈に対する都合のよい解釈、ないしは取り出しというものが、死刑制度にどのように関わりあうのか、ということを考えさせてくれる本だった。最近読んだ本のなかでは、ベストと言うべき2冊。

昨晩から、少年法関係を読み始めた。明日には読む終わるかな。