イラク:わが祖国に帰る日 反体制派の証言

 ちょっと前に読み終わった本に、勝又郁子『イラク:わが祖国に帰る日 反体制派の証言』(NHK出版、2003年)がある。特に紹介すべきところがある本ではないけれど、一つのものの見方としては参考になる。特にフセイン政権崩壊に至るまでの長い期間に、海外在住のイラク人がどのように動いてきたのか(このような人々の意見はもちろん一枚岩ではない)の情報の一端を読むことができるという意味において(それがこの本の目的とするところか)。

 クリントン政権時代のイラク解放法とイラク戦争占領政策との結びつきを見ることもできた。また、フセイン時代の反体制派に対する米国政府の態度が一定していなかった分、それらの人々が翻弄されてきたことなども察することができた。イラクと米国。非常に長い関係がある。湾岸戦争以降、着々とフセイン政権崩壊に向けて動いてきた米国。それがイラク戦争であり、その後の占領政策に続いている。実に恐ろしい。