読むんじゃなかった。『ユダヤ人に学ぶ日本の品格』

 やばーい本を読んだ。エリ=エリヤフ・コーヘン&藤井厳喜ユダヤ人に学ぶ日本の品格』(PHP研究所、2007年)。もちろん買ったわけではない。友人から借りたもの。親日派として知られていた元駐日イスラエル大使エリ=エリヤフ・コーヘンがどんなことを書いているか一応チェックしようと思っただけ。読むだけ、時間の無駄だったというのが正直な感想。シオニストであることは最初からわかりきったことだったけれど、これほどまで(イスラエルの)平和のためには、「強い国家」であることと愛国心が必要であることを何の恥じらいもなく書くとは。そもそも矛盾しているのよ。コーヘン氏が引用している十戒には、「あなたは殺してはならない」「あなたは盗んではならない」「あなたは隣人の家をむさぼってはならない」…などと書いてるよね。イスラエル国家がやっていることは、それに完全に反してる。己の真の姿を見ることによって、己の恥を知る。

 この本のやばさは、エリ=エリヤフ・コーヘンの主張ではなない。彼の主張がまずいのは言うまでもないのだが、やはり問題は、一章分を書いている藤井氏の論調。当初から何の期待もしていないし、まあいわゆる歴史修正主義者たちが訴えそうな「反日分子」批判などを書いているだろうとは思ったけれどね。その想像は間違っていなかったよ。読んでいて、気分が悪くなった。

 それにしても日本の歴史修正主義者やその支援者とシオニストシオニスト・クリスチャンの主張は実によく似ている。その点だけはクリティークを書くときの収穫かな。キリストの幕屋と聖イエス会は要注意だね。