ルポ 正社員になりたい

 学生さんと話をしていると「ワーキングプア格差社会」のことが話題になることが最近増えている。先日、学生対象のスタディー・ツアーで釜ヶ埼に行ったところ、参加者が感想文のなかででいろいろ書いてくれた。ほとんどの学生は自らの差別性に向き合おうとしていた。それと同時にこの社会の貧困問題を理解しようとする姿勢が見られたので、スタディー・ツアーをやってよかったとしみじみ思ったのだった。

 私自身、昔、日雇い労働者「支援」に少しだけ関わっていたことがある。留学などを経て、結局、その支援活動は完全にストップし、今にいたっているのだけれど、私の運動の原点の一つになっていることは間違いない。原点の原点というのとは違うのだけど。

 この一ヵ月、何も読まずにいたわけではない。ひたすら次の本の原稿を書き、前期の採点に追われい、おまけに集中講義で一週間ほど大阪を留守にしていたということもあって、確かに読書の時間はなかったけれど、それでも本だけは買っていた。

 また読む始めた。最近読み終わったものは、小林美希『ルポ 正社員になりたい:娘・息子の悲惨な職場』(影書房、2007年)。これはいい本。派遣法の矛盾(ああ、雇用機会均等法と同じときに導入されただったよなあ・・・。こっちの方が相当問題だったのに、その矛盾を指摘できずにいたよ)、若者の悲惨な労働現場、働いても働いても安い時給でなかなか生活が成り立たない状況など、非常に丁寧に取材をして書いている。まわりにもすすめたい。

 今はNHKスペシャルワーキングプア」取材班・編『ワーキングプア:日本を蝕む病』(ポプラ社、2007年)を読んでいる。これは話題になったNHKの番組をもとに本にしたもの。すでにたくさんの感想があるけれど、とりあえず次の日記にとっておこう。