イスラエル兵役拒否者からの手紙

 昨日の夜は本当に何にもしたくなかったので、ベットでごろごろしながら、読書。読み終わった本はペレツ・キドロン「イスラエル兵役拒否者からの手紙」(NHK出版、2002年)。この本はとっくに読んでいていいはずなのに、なぜか持っていなくて、つい最近買ったもの。英語版はブラッドフォードにいたころに、立ち読み程度で読んだことがある。

 「選択的兵役拒否」というのは私には受け入れられないものだと思っていたけれども、この本を読んでいて、シオニズムから脱却できない限り、また「国家安全保障」の論理と自衛の論理から抜け出せない限り、全面的兵役拒否にはなりにくいイスラエル社会というのがあることをひしひしと感じた。私はシオニズムの上に成り立つ「選択的兵役拒否」という視点にクリティカルであり続けているけれど、状況の変化を少しでも促すものになるのであれば、第一ステップとしてはあり得ることなのだと思う。

 しかし・・・。「選択的拒否」をしている限り、1967年の占領地という線からは動けないのだから、シオニズムへの批判、イスラエルの建国の課程で排除された難民の帰還権を受け入れるところにまで行くのは、時間がかかりそうだなあ。兵役拒否者だけでなく、イスラエルの既存の平和運動のマジョリティには限界がある。うーーん。

 なんてことを書いたけれど、この本は価値がある。占領地で任務についた兵士たちの苦悩が分かりやすく描かれていたし、徴兵を拒否した高校生たちの一部によるシオニズムに対する疑問を知ることもできたという意味で、読んでみる価値は十分ある。