マフムード・ダルウィーシュ「壁に描く」

 昨日新しい本が届いた。嬉しい。ちょっと待っていた詩集。マフムード・ダルウィーシュ「壁に描く」。これ以外に竹内浩三の「戦死やあわれ」もいっしょに届いた。最近は、軍に従事した経験がある人たちの声にもっと耳を傾けたいという気持ちを強く持つようになった。BC級戦犯として処刑された元日本兵の木村さんの遺書、軍属だったチョウムンサンの遺書を今の時代にどう読むべきなのか、ということを考えているから。

 ダルウィーシュの詩の方は、四方田犬彦さんの訳。これはじっくり読むことにしよう。ダルウィーシュの「亡命地からの手紙」を読むたびに、胸が痛くなる。ヨルダン内戦、レバノン戦争を経験したパレスチナのフィダイーンのことを思わずにはいられないからだ。ロンドンに政治亡命したオマールのことも。北イングランドに向かう電車のなかで、オマールは言った。「僕はフィダーイだ」と。故郷(ワタン)の解放を求めて闘ったフィダイーン。彼・彼女たちの名誉の回復がなされるためには、占領下にある故郷が解放される必要がある。

 非常勤先の大学に向かう途中、夢中になって「イラク零年」を読んだ。まだ終わらない。でも、この本は、昨日思った以上に納得させることが書いてある。買ってよかった。