フィリピン女性エンターテイナーの夢と現実

 ヨルダン滞在中に読んだ本は結局、「パレスチナ・ナウ」だけ。「チェチェンで何が起きているのか」は、帰りの飛行機のなかでちょっと読んだあと、うつらうつらしたり、映画などを観ているうちにそのままに。結局、帰ってきてからぐいぐい読んで、昨日、読み終わったところ。

 「パレスチナ・ナウ」は期待していた以上にいろいろな示唆を与えてくれる本だった。「パラダイス・ナウ」を通して、パレスチナ人の自爆者にそれぞれ人生と物語があることを明確に伝えていたし、「ミュンヘン」という映画が、パレスチナ人を「よく分からない」不気味な存在として描いているのかということも極めて明快に批判していた。アンマンでのインターンが終わり、夜になってホテルに帰ると、この本を取り出しては「ふんふん」言いながら読み、あれこれ考えたのだった。アジュルンを通ったときも、そうだ。

 「チェチェンで何が起きているのか」を読んで、率直に感じたのは、チェチェンで起きていることの背景・本質とパレスチナで起きていること・イスラエル植民地主義の類似性だった。酷似している。そこに暮らす人々の生・感情・怒り・抵抗心。チェチェン関係の本をもう少し読んでみたい。ロシア/イスラエル/日本/米国/英国・・・私たちこそ、植民地主義者であって、植民地国家を支える細胞となっているのだよ。恐ろしいことだけれど、そのことを素直に受け入れなければ、この抑圧は続いていってしまう。

 DAWN編著「フィリピン女性エンターテイナーの夢と現実:マニラ、そして東京に生きる」(明石書店、2005年)を読み始めた。女性に対する暴力に関する教材を書くときの一つの資料にしようと思っている。それ以上に私にはフィリピン出身の女性たちと聞くと、若かった頃の私のシンガポールでの生活などさまざまな思いがよぎる。移住労働者関係の本ももっと読まなければ・・・。