刺繍−イラン女性が語る恋愛と結婚

 マルジャン・サトラピの「刺繍−イラン女性が語る恋愛と結婚」(明石書店、2006年)を読んだ。純粋におもしろい。イスラームの名とともに語られるイラン人女性たちの日常会話の一遍を知るにはいい本だ。もちろんここに出てくる女性たちが、イラン人女性をレプレゼントしているわけではないけれども。刺繍というのは、処女幕再生手術のこと。結婚と処女性。深刻に悩みつつも、なんとか初夜で処女じゃないことがばれないような方法を考えてみる女性たち。でもそういうときに「おもしろい」失敗談はつきものね。

 最近の私はイランにはまっている。イラン女性の生活のこと、状況のこと、あれこれ知りたい。今日もまた、本を注文してしまった。「サフラン・キッチン」と「柘榴のスープ」。

 「五月のガザ」については感想はない。それほどおもしろいものでもなかったからかな。でも、2004年のガザ侵攻の一端を少しだけ知ることができた。あの頃の私は、一時期、止まらないイスラエルの侵攻のことで頭がいっぱいになっていた。毎日ひどいニュースを耳にするたびに、怒りで身体全身が震えていたことを覚えてる。

 アンナ・ポリトコフスカヤの「チェチェン やめられない戦争」(NHK出版、2004年)を読み始めた。非常勤に向かう途中の電車の中や就寝前のベットで。またもや怒りでいっぱいになっている。人間性の回復という言葉を思い出したよ。人間性を回復することは可能なのか。チェチェン人が置かれている状況を考えると、それが限りなく不可能に思えてくる。それはパレスチナ人と同じだ。だからといって、このままでいいはずがない。アンナ・ポリトコフスカヤ。この名前をよく覚えておこう。チェチェンの惨状を知らせるために全精力をかけた勇気あるこのロシア人ジャーナリストは、すでにこの世にはいない。